楽しい松葉杖生活 in 山梨甲府エリア~生活編~

ヤケクソになってる?はい、ちょっとそうかもしれません。でもいいこともありました。

足を骨折して、1ヶ月経ちました
最初は新鮮なことが多かったのですが、すごく正直に言うと…そろそろ飽きました!
とはいえあと1ヶ月ほどで治るそうなので、粛々と過ごしています。

さて、今回ワタクシ右足をギプスでぐるぐるされており、ともかく歩けない&運転できない。「山梨+松葉杖+運転禁止+ひとり暮らし」、この時点で「詰んだな」と思いました。

でも色々ありつつ、なんとかここまでやって来られたので、次に同様の事態が生じた時に備えて&甲府周辺で同じような状況に陥った方のために、主に生活上で困ったこと、役立ったことなどをまとめておこうと思います。

困ったこと
・松葉杖って、手にちょっとしたものを持って歩けない
・車がないと、買い物・ゴミ出しのハードルがいきなり上がる
・バスのステップが高くて、杖で登れない
・駅の自動改札、通過中の作業が多く時間切れで閉まってしまう
・タクシー配車サービス大手は甲府中心部以外はほぼ使えない
・(運転しないため)車のバッテリーがあがった

やっておいた方がいいなと思ったこと
・療養中は現金を多めに引き出して持っておく
医療費、タクシー代などで普段より現金の支出が多かったです

・車のエンジンは時々かけておく(バッテリーあがり防止)
結局JAFさんのお世話になりました。ありがとうございました!

・仕事などの相手先には、今の状況を一旦報告だけしておく
回復時期が明確にはわからないので、まずは早めに一報

・備えあれば憂い(少しは)なし
各種物資のストック、衣替え、仕事の手配etc、怪我する前に済ませておいてよかったです

あってよかったもの
・登山用ザック・リュック
とりあえず、手に何かを持って歩くのが難しい。全体重が手のひらに来るので、小さなものでもものすごく歩きにくくなるんです。というわけで、かばんはリュック一択。普段から仕事もリュックでしたが、何より登山用ザックが活躍しました。
ちなみにこの登山用ザック、中から登山の時の楽しみに溜め込んでいたお菓子や保存食がザクザク出てきたので、その点も非常に役立ちました。(冬眠前のリスかという)

・ポケットのある丈の長いスカート
スマホや鍵に関しては、リュックよりもポケットに入れる方が動きやすいです。女性用の服はポケットが小さい or ない服が多い昨今ですが、やはりポケット大事です。スマホが大型化していることもあり、ちゃんと大きめのポケットがある服は助かりました。

それから、足下がギプスで巨大化していて細身のズボンなどが履けないです。長めのスカートが一番着やすく、かつ足下の包帯ぐるぐるが見えにくくて重宝しました。ジャージなども気楽ではありますが、仕事の時はTPOが合わないので、それなりの素材のものがあってよかったです。

・キャスター付の椅子
私は自営業なので、自宅でもちょっとした仕事ができるように、PC用の机と椅子を置いてあります。その椅子にキャスターがついてるの、今まであまり好きではなかったんです。
でもこれ、この事態になってみるとすごく重要でした。家の中での移動もずっと松葉杖は体力的に厳しいので、主にキャスター椅子で移動しています。(下の階の住民の方、本当にごめんなさい)インテリア映えを優先していなくてよかったです。

なお、キャスター椅子は、前に移動するより、進行方向に背中を向けて後ろに足を蹴り出す方が早く遠くまで進むという、何の役にも立たない真理を見いだしました。よい子は真似しちゃだめなやつ、会社でやったら怒られますね。

・店舗の車椅子貸し出しサービス
買い物は、まずスーパーまで行くのがなかなか難しいのですが、無事店にたどり着いたとしても、両手が杖で塞がっているため、カゴやカートを持つことができません。結果、カートに体当たりしながら杖で後を追っかけるという、コントロールが難しく、かつ見た目にもお行儀の悪い事態になります。

そのような醜態を何度か続けた後、大型スーパーには車椅子貸出しサービスというのがあるのに気がつきました。私は昭和町のイトーヨーカドーで借りてみたのですが、イオンやオギノなどにも備え付けがあるようです。車椅子専用のカートも貸していただきました。
これがともかくラクで!羽根が生えたように軽く動けて!感動しました。(そして感動のあまり余計なものを買いすぎました)。
まったく歩けないわけではなし、ちょっと大げさで恥ずかしいかなと思っていたのですが、これは本当におすすめです。というわけで今回のブログのアイキャッチ画像はこの神アイテムにしてみました。

・ゴミ出し問題(未解決)
私は利用しませんでしたが、買い物に関しては通販、ネットスーパーや生協の宅配も解決策になると思います。ただ問題は配達の際の梱包材などのゴミ出し。
私の住んでいる甲斐市では、燃えるゴミのみは自宅前の集積所で回収、一方資源ゴミである段ボールやプラ容器などの収集は市内3箇所のリサイクルステーションへの持ち込みです。元気な時は、ステーションも車ですぐだし自分のタイミングで出せるのは便利!と思っていたのですが、車の運転ができないとなるとどうにもなりません。

見栄っ張りかもしれないですが、たとえ知り合いの方に手伝っていただくとしても、送迎や買い物に付き合ってもらうのはともかく、自分の出したゴミを運んでもらうのはかなり心理的に頼みにくいです。
今回は1ヶ月経ったタイミングで家族が一度顔を出してくれて手伝ってもらいましたが、長期の療養の場合、この点は一番困るなと感じました。いや、もう、「見栄を捨てろ」という結論しかないのですが。

・冷凍食材各種(業務スーパー・ニチレイ)
そんなわけで、買い物に行けない&ゴミを出せない状態でとても助かったのが冷凍の食材各種。生鮮品より保存がきくのと、野菜くずなどの生ゴミが出ないのが助かりました。通っていた整形外科から一番近くにあったのがたまたま業務スーパーだったのですが、かなり多品目の冷凍野菜が揃っていたため、ビタミン不足解消に貢献してくれたと思います。

また、ニチレイで販売している冷凍のおかずセットがあることは以前から知っていて、高齢の義父母の家事負担軽減にと送ったこともあったのですが、今回、いい機会と自分でも購入してみました。決して安くはないのですが、選べる種類も多く、また通常冷凍に適さない食材も、違和感のない味や食感になっていて、冷凍技術の進化を感じました。このニチレイの製品に関しては、さらに梱包材がすべて燃えるゴミで出せる仕様にしてあって、さすがだなと思いました。現場の細かい課題点への掘り下げ具合がすごい。

とはいえ、先日久しぶりに生のみかんを食べたらすごく美味しかったですね。
新鮮な素材が気軽に手に入るって、とても贅沢なんだなあ、と以前見た映画「南極料理人」を思い出したりしました。

・タクシー配車アプリ「モタク」
タクシーアプリ、「GO」とか「DiDi」とか、首都圏に住んでいたときは時々使っていました。しかし山梨だとほぼ使えません。「DiDi」は2025現在甲府周辺はサービス対象外、「GO」はいちおうサービス圏内なのですが、導入している車両が少ないらしく、甲府駅前以外だと車両がみつからず、実質的に使い物になりません。
という話を乗っていたタクシーの運転手さんにしたところ、「うちの会社の配車アプリなら見つかりやすいよ」と教えてもらいました。

第一交通グループのタクシーが対象の「モタク」というアプリです。第一交通は甲府周辺に5箇所の営業所があるため配車が早いです。また松葉杖でモタモタ乗り降りしていても、どの運転手さんにもとても優しく丁寧な対応をしていただけて、大変助かりました。
配車料金(200円)は電話の場合と同じですが、アプリを開いてすぐ依頼できて、場所の特定もしやすく便利です。甲府周辺で頻繁にタクシーを利用する場合インストールしておくとよいと感じました。

※ なおその後、他の運転手さんにも聞き込みを続けたところ、モタクは第一交通のほぼ全車両、GOは第一交通の一部車両、UberはMKタクシーの一部車両を対象に配車手配できるとのことでした。

・タッチ決済
普段からスマホにSuicaやクレジットカードを登録していたため、バスや電車、買い物などの際に手順が少し減らせて助かりました。特に公共交通機関での決済は、時間があまりない中でお金を出す工程がないだけでかなり楽です。とはいえバス乗降の際には、運転手さんに辛抱強くお待ちいただき、JRの自動改札では毎回時間切れでやりなおしとなり、山梨交通とJRの皆様に大変ご迷惑をおかけしました。寛容に見守っていただき、感謝しています。

・モバイルオーダー
カフェやファストフード店のモバイルオーダー、あるのは知っていました。でも使ってみようと思ったことはなかったです。だって、どう考えても自分でカウンターに行ってさっさと頼んだ方が早いじゃないですか。と思っていたのですが、これすごく便利ですね。

席で注文して、席で会計して、席に持ってきてくれる。カウンターに行くのも、財布出すのも、トレーやカップを持って歩くこともいちいち大変な身には、すごく助かりました。こちらとしても楽ですが、たぶんお店の方も、よちよちして転ばれたり、こぼされたりするよりよっぽど安心だと思います。(ということにして、この際甘える)

元気で自力で動ける時には、気軽で便利だと思っていたセルフサービスのお店はこの仕組みがないと1人では利用が難しく、昔ながらのフルサービスのお店というのは色んな人が利用しやすいのだなと思ったり、立場が変わると視野が広がりました。

なお身体が不自由なのになぜ飲食店に行くのかというと、いつも約束より早く着きすぎる性格がさらにこの状況でエスカレートして、待ち合わせの1時間以上前に目的地に着く事態が多発するからです。

恵まれていたこと

・わりと、どこでもできる仕事をしていた
税理士という仕事、日々の業務はPC作業がメインの事務仕事が多いです。
また私の場合は、もともと基本的な業務設計を極力アナログにせず、インターネット環境さえあれば運用できるように整えていたことも幸いでした。事務所に郵便を取りに行かないと仕事ができない、等がなくて本当によかったです。(とはいえ税理士会の会務はいくつか欠席したり代理をお願いしました。)

そんなわけで仕事に大きな穴を開けることはなく済みましたが、やはりひとつひとつのことをするのに普段の何倍も時間がかかってしまい、ご迷惑をおかけしました。
そんな中でお気遣い・お声がけをいただいたお客様、各種調整をいただいた税理士会の皆様、本当にありがとうございました。

・職場&自宅がどちらもワンフロアの賃貸だった
甲府で拠点を探すとき、1軒の家を借りて1階は事務所・2階は自宅というのもいいなと思っていました。ただ色々なタイミングもあり、結局事務所は甲府駅近くの平屋の建物・自宅は別のマンション(エレベーター有)になりました。今回、これが結果的に正解でした。
そもそも歩くのも大変な状況で、日常的に1階と2階を階段で上り下りしなければ生活できないとなると、不自由さが段違いだったと感じます。またいずれも賃貸で、大家さんが近くに住んでいらっしゃるので、自分ではどうにもならない部分(家具を動かしたいとか)を手伝っていただき、大変助かりました。
というわけで今後も、家を探すなら平屋だな、という気持ちになりました。

職場&自宅が交通至便(山梨にしては)だった
山梨では電車やバスよりも車の便の方が重要なので、不動産広告を見ていると駅徒歩90分、などという物件もあります。ただ事務所も自宅も、たまたま駅までそれほど遠くなく(この状況では歩けませんが、タクシー代の負担が少なく)、また1時間に1本くらい便があるバス停も徒歩5分以内の場所にあったため、比較的、公共交通機関を利用しやすい環境だったことは幸いでした。

病院が商業地域にあった
病院は、選べませんでした。怪我をしたのが連休中だったからです。その日の休日診療当番だった昭和町の整形外科宛に初診の紹介をしていただき、その後もそこへ通院しました。
自宅からは少し遠くてバス便もなく、不便かなと思ったのですが、反面昭和町は商業施設が多いエリアで、病院から徒歩3分のところに業務スーパーとイトーヨーカドーがあったため、通院のついでに買い物もすることができて結果的には合理的でした。

また、病院の雰囲気が明るく、先生も看護師さんも優しく対応してくださり、心強かったです。さとう整形外科の皆様、大変お世話になりました。


健康でいたら気づかないこと、たくさんありました

ふだん何気なく見ている風景、目線が変わるとずいぶん見えるものが変わりました。道路や駅、公共施設や大型の店舗など、多くの人が使用するスペースは、さまざまな人の立場に配慮されているのだということを理解するよい機会になりました。
「街のデザイン」と聞いても、ぴんときていなかったのですが、それは見た目のことではなく、実用性に着目したものなのだと感じました。この高さに手すりがあったら、この角度のスロープだったら、そんな検討と実践の積み重ねが街じゅうに当たり前のようにあり、日々それを利用できるというのはとても豊かな社会なのだと思います。

ちなみにそういった整備がされていない古い町並みを歩いたときに新鮮だったのが、道路の左右の傾き。自分の足で歩いていたときは大して気にしていなかったのですが、杖をついていると身体のバランスが崩れて、とても歩きにくいものでした。また、階段の段差の高さや段の広さなど、ちょっとした違いでずいぶん違いがあること、昇る方が難しく、傍から見て危なっかしい下る方が楽なことなど、やってみて分かりました。
とはいえ街中をこんな無防備な状態で歩いていても、誰にも悪意を向けられることなく、むしろ多くの方が優しい言葉をかけて下さったことが、一番の豊かさなのかもしれません。

おわりに
今回の件、とても勉強になりました。が、やはり、自由ってすばらしいものですね。

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