長い付き合いになる税理士との相性、重要だと思います。ではどうやって見極めるかという話
いい税理士」ってなんだろう?
正直なところ、お客様によっても、この評価は変わると思っています。
求めている方向性が近ければ「いい税理士」、ズレていれば「イマイチな税理士」。となるとそのズレの少ない税理士をどう見つけるのか、が重要になります。
ただ、税理士への依頼が初めての方の場合「そもそも税理士に何を求めるのか?」の整理も必要かもしれません。
山梨(特に甲府周辺)で税理士を探される際に参考にしていただきたい情報を
・たとえばこんなルートで(6種類)
・相性の見極め方ポイント
・税理士選びの注意点(重要!)
という視点でまとめてみました。
どんなご要望がありますか?
こんなこと解決したい、こんなパートナーがいたら、というイメージはありますか?
例えばですが、この中から重視したいのはどんな点でしょうか?
・特定の分野の専門性を重視したい
・自分の業種に詳しい税理士がいい
・地元にネットワークのある税理士がいい
・世代が近くて話しやすい税理士がいい
・老舗(大手)で実績のある事務所がいい
・気になったことは都度相談したい
・あまり干渉せず、最小限の対応でいい
・価格を重視したい
・自分と考え方の近い税理士がいい
・自分とは違う視点のある税理士がいい
・希望の会計ソフトに詳しい税理士がいい
これに限らず、ご自分の中で「どんな点を重視するか」「その中での優先順位は」を整理していただくと、格段に税理士探しの精度が上がるはずです。
この情報をお教えいただくと、我々税理士側としても、ご要望に合う・合わない(または調整できる)旨をご回答しやすくなります。また上記の中にも、組み合わせとして両立が難しい条件もあります。そのような点についても、お互いに忌憚なくお話ができるようになります。
ただ、まずそこがわからない、という場合もあると思います。そんな方は、次にご紹介するような方法でまずは何人かの税理士と実際に話してみることをお勧めします。
どこで探す?
税理士探し、例えば下記のようなルートがあります。
どちらかというと、
・①WEBで検索と②会計ソフト会社経由は、自分で調べて探したい方向け
・③~⑥は、まずはお任せでつないでほしい方向け
です。それぞれの特性や注意点について、以下で詳しくご説明します。
① WEBで検索(自分で探す)
各税理士の考え方や得意分野、ひととなりを知るためには各事務所独自のサイトが一番情報が多いので、「専門性重視」「世代や考え方の近い税理士」を探すには適切な方法です。
では各事務所のサイトはどこから探すかというと、
・日本税理士会連合会の地域別検索ページ
・google等の検索エンジン経由での検索
いずれかで探すのが適切です。
日本税理士会連合会のサイトは、全国にいるすべての税理士の情報が掲載されているため、最も信頼性と網羅性が高いです。地域の絞り込みもできるので、近隣で開業している税理士の連絡先、登録番号や事務所サイトURLなどを一覧で確認できます。
なお余談ですが、税理士登録番号は毎年登録順に付番され、2025年の最新は150000番~、この番号が~100000番の方はかなりベテラン(反面、高齢)とお考えください。
一方、検索エンジン経由での検索の場合には、特定の文言を検索の条件に加えることで、各事務所の特徴などを効率よく調べることができます。逆に言えば「山梨県・税理士」だけだと、検索結果の精度が低くなるので、ご自分の重視する文言(創業支援・若手・具体的な地域名等)をいくつか入れて探していただくのがおすすめです。
なお、特定の分野や業種への特化を最も重要視される場合、あえて検索の文言に地域を入れずに検索した方が、より適性の高い税理士が見つかる場合もあります。
② 会計ソフト会社の税理士検索を利用(自分で探す)
自分が使いたい会計ソフトが決まっている場合、それぞれの会計ソフト会社のサイトにある税理士検索ページから探すのが近道です。
会計ソフトは、各社とも複式簿記の考え方に基づき設定されているため、どの税理士も「この会計ソフトしか使えない」ということはありません。とはいえ、各事務所とも業務効率上、ある程度使用するソフトを絞っているため、ご希望のソフトがある場合には、そのソフトをメインで採用している税理士に依頼する方がお互いにとって合理的です。
逆に、会計ソフトに関して特にこだわりがない場合には、まず依頼する税理士を決め、ソフト選定は任せていただいた方が、導入から支援を受けることができスムーズです。
③ 税理士紹介サービスを利用(お任せ)
WEBで税理士を検索すると、各税理士のサイトより先に、税理士紹介サービス(税理士ドットコム、ビスカス、ミツモア等)が結果に出てくるので、このようなサービスを利用される方も多いのではないでしょうか?
これらの会社は、税理士の紹介希望があると、顧客の選んだ条件を自社に登録している税理士に流して、これに対して応募してきた税理士を顧客に紹介します。この場合、顧客の側としては一度の紹介希望で複数の税理士を比較検討することができる点が利点です。
但し、実際には紹介会社への登録には慎重な姿勢の税理士も多く(高額な紹介料設定と強引な営業姿勢が、業界内でも問題視されています)このようなサービスで紹介される税理士は限定的であるという点、紹介会社は応募してきた税理士をつないでいるだけなので、必ずしもご希望に最適な税理士を吟味しているわけではない点にはご留意ください。
ご自身の中で条件がある程度絞り込まれている場合には、このようなサービスを介さず、個別の税理士に直接ご連絡いただいた方が、税理士側としても柔軟なご対応が可能であることを申し添えておきます。
④ 税理士会に問い合わせ(お任せ)
地域の税理士会(山梨県の場合、東京地方税理士会甲府支部または大月支部)に電話していただくと、税理士会が所属する税理士の中から近郊で開業している税理士を紹介するサービスがあります。
この場合、どちらかというと登録から日の浅い税理士を紹介する場合が多いので、(会からの紹介を希望した税理士から選定されます)地元で若手の税理士を希望する場合には適任者が見つかるかもしれません。
一方、老舗・ベテランの事務所はそもそも紹介希望を出していないため、そのような事務所をお探しの場合には、WEBから各事務所へ直接お問合せをいただいた方がよいです。
なお、どういった条件で税理士を探すべきか迷っている段階であれば、税理士会が主催・共催する無料相談会などに足を運んでいただいて、実際に何人かの税理士と話してみるのも参考になると思います。
⑤ 商工会、商工会議所で相談(お任せ)
地域の商工会、商工会議所の窓口でも税理士の紹介を行っています。商工会等は地域密着で活動するため、窓口では同じ商工会員である税理士を紹介される場合が多いです。
このルートは、地元のネットワークのある税理士を見つけることができる点や、商工会等の窓口で自分の事業の状況を伝えながら要望を整理できる点が利点です。
また、各商工会等では独自の会計支援サービスも行っているため、日常的には商工会の支援を利用して自力で帳簿を作成し、突発的な必要性があるときだけ税理士の派遣を依頼する、というような利用の仕方もあります(価格を抑えたい方にはおすすめです)。
ただし地元すぎる付き合いを避けたい場合、選択肢を広くもちたい場合には、このルートは不向きです。
⑥ 知り合いの経営者に相談(お任せ)
「実際に依頼した場合、ほんとに期待どおりの仕事をしてくれるのか、不安だ」
そんな場合には、知り合いの経営者におすすめの税理士を紹介してもらうのもありです。実際に依頼したことがある方からならふだんの仕事ぶりも聞けますし、敷居も低くなります。
一方で、誠実な方ほど、「会ってしまったら、紹介者の手前断りにくい」という不都合を感じるようです。
これに関して税理士側の正直な気持ちとして言えば、実際に会ってみて感覚が合わない場合には、遠慮なく断りを入れていただいて大丈夫です。
ご紹介はきっかけではありますが、紹介者の方と依頼者の方で、経営方針や性格は異なって当然です。契約を開始してしまえば、紹介者ではなく税理士との付き合いが長く続くので、ここで妥協しての契約は一切必要ありません。
以上、代表的な6つの方法を述べてきましたが、上記の他、経営者同士の交流会や、金融機関の紹介などで探す方法もあります。
何を基準にして選ぶ?
ご要望に照らした場合に、明確な決め手があればよいですが、そこまでこだわりがなく、なかなか決め手が見つからない場合もあると思います。
「税理士皆同じに見える問題」は、特に経営がはじめての方の場合、あるあるです。
私としては、実務的に下記のような点も検討に加えていただければと思います。
・相談対応の頻度
たとえば「年1回の相談対応」と聞いてどう思いますか?
「手軽で便利!」慣れない方はそう思うかもしれません。
でも、どんなに小規模な事業であっても、事業を進めている間には税務上・取引上の細かな選択肢、検討点が日常的に出てきます。その対処を放置したまま時間が経ってしまうと、大抵の対応は手遅れになっています。
経営者として、そのような不利益をご了承の上で「年1回」を選択されることは自由です。ただ個人的には、税理士の存在意義は、事前に各種の対策を講じておくことで、経営上のリスクを極力回避し、かつメリットを享受していただくことと考えています。
せっかく依頼されるならば、ご自身の事業に関心をもち、支えようとする税理士を選定していただきたいです。そういった意味で、適切な頻度で相談できるかを検討に加えていただくことをお勧めします。
・顧客対応の担当者
特に大規模事務所の場合、代表税理士が日常的には顧客対応を行わず、無資格の職員に相談対応を任せている場合があります。
もちろん優秀な職員を抱えている場合には問題ありません。しかし昨今の人材不足もあり、経験不足の職員が担当でこころもとない、入退職が激しく担当者が安定しない、というお悩みを耳にすることも多いです。
初回面談の際には、契約後の対応や担当者について確認しておくことをお勧めします。
・連絡手段、資料の受渡し方法
事業内容や、ご自身の生活スタイルによって、連絡手段の利便性は異なります。
電話、メール、チャット、また資料についても電子データでの受渡し、郵送、FAXなど、ご自身にとって楽な方法で連絡の取れる税理士を選んでいただくのがよいです。
連絡が億劫→情報共有が遅れる→コミュニケーションが悪化→信頼関係に影響
というのは、わりとよく見るパターンです。
どの方法が正解ということではないです。単純に合う・合わないの問題なので、ご自身にとって負担の少ない相手を選ばれるのがよいと考えています。
・メインターゲットとしている顧客規模
たとえば、
→大規模法人がメインの事務所では、個人事業主への対応は手薄になりがちです。
→中小規模の事業メインの事務所では、大規模法人の対応はキャパオーバーです。
→相続税特化の事務所では、事業顧問の顧客には積極的に対応しません。
同じ「税理士」でも、得意分野、専門分野は異なります。
「その事務所が想定している顧客と、ご自身の事業内容・規模が合っているか?」
も確認しておかれるのがよいと思います。
・話し方、考え方、雰囲気
最後の決め手は、話していただいて「違和感の少ない」相手を選ぶことかと思います。
税理士との契約は、一般的に数年~数十年継続し、事業が上り調子の時も課題が多い時も、様々な状況をご一緒に乗り越えていく関係です。
あまり取り繕わず、相談できる相手であることは重要です。初対面ですぐには打ち解けることが難しい場合もありますが、話している中で不快な圧を感じたり、視点がずれている感覚がある場合には、他の税理士を検討されることをお勧めします。
聞かれていませんが、うちの場合
・何が得意かというと
はざま税理士事務所は、町の税理士事務所でありたいと考えています。
そのため、特定の分野や業種に特化はしていません。地域の方の生活や産業を支える様々な事業を営む皆様を、裏方として支えたいと考えています。
得意分野は、資金の流れに着目した継続的な事業支援です。特に創業期の事業者様には、早い段階から将来を見据えた健全な体質を作りあげるお手伝いをしたいと考えています。
・メインターゲットは
小~中規模(年商1,000万円~10億円程度)の法人・個人事業主様がメインのお客様です。
経営者の方の個性が最も発揮される規模
税理士として貢献できる余地の大きい規模
と考えています。
また、弊事務所としては、創業段階から健全な経営体質を整えていくことが最も効率的と考えています。現状は年商1,000万円未満の場合であっても、経営基盤をきちんと整えていきたいというご希望があれば、ご遠慮なくお問い合わせいただければと考えています。
・その他の傾向として
今までの経歴や現況を踏まえると
・地元出身ではありません(業務上必要な地域ネットワークは有)
・老舗でも大手でもありません(その分合理的に行動できます)
・お客様は20代~70代までと幅広いです(私は40代)
・経営者が本業に邁進するため、足下を固めるのが税理士の本分と考えています。
・そのためご提案は安全性、守備重視(事業のリスク回避)の傾向があります。
・ご連絡は、こまめにとる方です(豪放な方には、細かすぎるかもしれません)
・規模拡大より品質優先の考え方で、顧客数を絞って対応しています。
・連絡はチャット、メールが主です。(電話は少なめ)
・会計ソフト・資料の授受はクラウドを基本としています。(郵送やFAXは使用しません)
・ご面談頻度は、3ヶ月に1回程度が目安です。
どの税理士がベストとは言えませんが、決算ギリギリに決めるのはお勧めしません。
それから、ニセ税理士行為にはご注意を。
「税理士選びのおすすめ、それは私!」なんて言って締めてみたいところですが、さすがにそれは暴論なので自粛。
「いい税理士」であるかどうかは、その方の求める条件によって異なります。ただ、話していくうち、会っていくうちに条件は絞り込まれていくはずなので、事業を始めよう、税理士を探そう、と思ったら、まずはいくつかの方法でアプローチしてみていただければと思います。
一番重要なのは、ともかくギリギリになってから探さないこと。特に個人事業主の確定申告は全国的に時期が集中しているため、年明けにはほとんどの税理士が受付を締め切ってしまいます。
年内に依頼先を決めておかないと、選択の余地がなくなり、また相場よりも相当割高な価格設定で依頼せざるを得ません。また税理士から見ると、決算日経過後のご依頼の場合、税制上のメリットなどを犠牲にせざるを得ず、とてももったいないです。
税理士を探しているすべての方に、お気をつけいただきたいことがあります。税理士に依頼したつもりだったのに、その相手が実は税理士ではなかった、という事案があります。「ニセ税理士」として国税庁からも繰り返し注意喚起がされていますが、毎年確定申告時期になると必ず数件はニュースに出ます。
契約しようとしている相手が本当の税理士なのか、一番簡単に判定できるのは①でご紹介した日本税理士会連合会の検索ページです。また、事務所拠点のある税理士会にお問い合わせいただくことでも確認ができます。ご契約前に、この点については必ずご確認いただければと思います。
おわりに
つらつらと書いてきましたが、この内容が、よい出会いにつながれば幸いです。
なお、はざま税理士事務所にご興味をお持ちいただいた場合は、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。
