確定申告もたけなわの3月1日、事務所にこんなメールが届きました。
手続に不慣れな方につけ込む詐欺行為に、お気をつけください。

これは、詐欺メールです
重要なお知らせ:未納税額のご確認とお願い
(別パターン:【重要】国税局からの最終納税督促通知・国税局からの納税督促のお知らせ 等)
拝啓
平素より国税行政にご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、貴殿について、下記の所得税(または延滞税)の納付が確認できておりません。
■ 納税情報
・納税確認番号:****4700
・滞納金額:15,500円
・本来の納付期限:2026年03月02日
・最終納付期限:2026年03月10日(延長不可)
これまでにも自主的な納付をお願いしておりましたが、期限までに納付が完了していない状況です。
税法(国税徴収法)に基づき、最終納付期限を過ぎても滞納が続く場合、以下のような法的措置を講じる可能性がございます。
・給与、預貯金、売掛金等の債権に対する差押え
・不動産、自動車等の財産に対する差押え
納税は国民の義務であり、速やかな対応をお願いいたします。
■ 納付方法
1. オンライン納付(推奨)
国税電子申告・納税システム(e-Tax)よりお支払いください。
納付ページへ:https://XXXXXX.com
■お支払い方法■
Paypay・Visa
2. 金融機関・コンビニエンスストアでの納付
納付書をお持ちの場合は、最寄りの金融機関またはコンビニエンスストアにてお支払いいただけます。
※ 既に納付済みの場合
本メール到着日前に納付手続きを完了されている場合は、恐れ入りますが、このメールは無視してください。システム反映に数日を要する場合がございます。
発行元:国税庁
〒100-8978 東京都千代田区霞が関3-1-1
※ このメールは送信専用です。本メールに返信いただいてもお答えできません。
※ 納税に関するお問い合わせは、管轄の税務署まで直接ご連絡ください。
※ 本メールは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)に登録された方へ送信されています。
Copyright (C) National Tax Agency Japan. All rights reserved.
比較用:国税庁の本物メール
国税庁からのお知らせ
e-Taxをご利用いただきありがとうございます。
国税に関するお知らせを、メッセージボックスに格納しましたので、内容をご確認ください。
e-Taxの利用可能時間内に、e-Taxホームページからログインの上、「お知らせ・受信通知」よりご確認いただけます。
○ 注意事項
・個人利用者の方がメッセージボックスのお知らせの内容の詳細を確認するためには、マイナンバーカードまたはスマホ用電子証明書等による認証が必要です。詳細は、e-Taxホームページの「メッセージボックスのセキュリティ強化について」からご確認ください。
・e-Taxの利用可能時間は、e-Taxホームページでご確認ください。
※ 本メールは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)にメールアドレスを登録いただいた方へ配信しております。
なお、本メールアドレスは送信専用のため、返信を受け付けておりません。ご了承ください。
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発行元:国税庁
Copyright (C) NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.
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違和感、見抜けたでしょうか?
詐欺メールの方、たとえばこんな違和感があります
①メール文面に金額が明記されているのは、おかしいです
②記載された期限が、おかしいです
③納付方法が、おかしいです
④そもそも送信元のメールアドレスが、おかしいです
他にも変なところは色々あるのですが、まずはこのあたりで見破れると思います。
①メール文面に金額を明記されているのは、おかしいです
国税庁、特に個人情報の取扱いに関しては用心深い仕組を採用しています。
メール誤配信などのリスクに備えるため、本文中に納税者のプライベートな情報は載せてきません。
比較用の本物メール、文面からは何も情報が読み取れませんよね。
国税庁が個別具体的な情報を配信するのは、本人がマイナンバーカード等で認証しないと開けないe-Tax内の「メッセージボックス」の中だけです。国税庁からと名乗るメールに「滞納」と明記されていたり、具体的な金額が記載されている時点で、おかしいです。
②記載された期限が、おかしいです
「本来の納付期限:2026年03月02日」と書いてありますが、所得税の納付期限は通常3/15。
このメールが配信されたのは2026/3/1(日)、記載された期限前日だったので、ギリギリの期限を書いておけば焦るだろうという目論見なのだと思います。
「最終納付期限:2026年03月10日」。こういう言い方もなんですが、国税庁そんなに仕事早くないです。提出された申告書は順番に確認しているんだし、ただでさえ3月は、1年で一番忙しい時期だし。
③納付方法が、おかしいです
国税庁は国民に税金を払ってもらうために、多種多様な支払手段を用意しています。
下の画像は国税庁サイトの納付方法の案内です。ここに書いてあるだけで、13種類!
そして昨今は、DX化を推進するという名目で、昔ながらの納付書対応を大幅に縮小しています。
今回の詐欺メール、お支払い方法が「Paypay・Visa」、それでなければ納付書で払えとなっていて、支払方法の選択肢が少なすぎる点(あと、国税庁がやめたがっている納付書に対するノリが)、おかしいです。
④そもそも送信元のメールアドレスが、おかしいです
国税庁の本物の配信用アドレスは、こちら。
一方、今回届いた詐欺メールの配信元は、こちら。
上の画像はメールソフトの受信一覧での見え方です。これだけだとそれほど違和感がないので、メール本文を開いてしまうかもしれません。でもメール本文を開いて、より詳しい送信元アドレスを見ると、e-Taxのあとに続く記載が、明らかに国税庁の本来のアドレスと異なります。
国税庁に限らず、公的機関を騙るメールが届いた場合には、内容を鵜呑みにする前に必ず、送信元アドレスやURLの詳細な記載まで確認するようご注意ください(本当に、イヤな時代になりましたね)。
見慣れない言葉に焦らずに
以前から話題のこの詐欺、ついに私のところにも来た!と届いた瞬間、いそいそ写真を撮りました。
昨年2025年の確定申告期には、SMS(ショートメッセージ)による配信が主流だったと思うのですが、国税庁は通常SMSは利用しないため、その配信で騙されたという話はあまり聞きませんでした。またその頃は、文面ももっとたどたどしく、漢字の字体なども不自然だった記憶があります。
そこから1年経って届いた今回のメール、まだ違和感は多いものの、文面がより自然な日本語や漢字になっていて、かなり進化しているなという印象を受けました(褒めていません)。
このような詐欺、えてして記載されている金額は少なめで、数千円~数万円程度が多いようです。大金ではないために、警戒心を抱かせないでうっかり支払わせるための作戦です。
とはいえ大部分の納税者の方は、ご自分で確定申告をされた際に納付すべき額について認識していますし、申告した流れで納付も済ませていることが多いので、このメールの違和感に早い段階で気付かれると思います。
ただ資金繰りに追われ、滞納している税金がかさんでいる状況だと、とりあえず督促が来たものから払う、というような対応になっている場合があります。その状況にこのようなメールがハマると、流れにのせられてしまう可能性がありますので、特にご注意ください。
おわりに
国税庁からの本物のメール、いつも『タイトル見ても、本文読んでも、何が言いたいのかサッパリ分からない!いちいち認証しないと通知内容を把握できないの、ほんと不便!!』と怒っていたのですが、それも意図のあること、単にお役所仕事で不親切というわけでもないのかもしれない、と今回の件で少し見直しました。
…まあ、でも、やっぱり不便なんですけどね。
おまけ_1:実際の詐欺メール

おまけ_2:国税庁の本物メール

