商標登録が完了しました

ちょっと興味があったので、事務所のロゴマークの商標権を登録してみました

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短足ぽっちゃりのワニ、気に入ってます

3年前に開業準備をはじめた際、一番先に手をつけたのがロゴマーク。札幌のデザイナーさんにいろいろ相談しながら、のんびりしたワニを描いていただきました。税理士事務所というと、シャープで堅いイメージのロゴが多いですが、対照的に力の抜けた飄々とした風情のこのワニ、私はとても気に入っています。

そんなわけで、ワニのロゴには創業以来、事務所サイトはもちろん、名刺や封筒、セミナー資料やノベルティグッズなど各種の媒体で活躍してもらってきました。

ただ使ううちに、気になってきました。
このロゴの権利関係、きちんと整えておいた方がいいんじゃないかな?
というわけで、弁理士さんにお願いして、ここ1年間、商標権の登録準備を少しずつ進めていたのです。

みんなワニがすきなんだ!

商標権を管轄しているのは特許庁。特許庁に現在登録されている商標権の中に、自分がこれから登録したいものと似たものがないか、事前に登録済の商標権を検索できるサイトがあります。
特許情報プラットフォーム → https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

「ワニのロゴを使っているところって、他にどんなところがあるのかな?」とこのサイトで検索してみたところ、ワニをロゴやキャラクターにしている会社や団体って、けっこうあるんですね。かの有名なLACOSTEをはじめ、大阪大学、バナナワニ園、ワニブックス、徳島市、バンダイナムコ(ワニワニパニック) etc…。
やっぱりみんな、ワニがすきなんですねえ。

全部の権利を取るのは大変

商標権、その商標権を独占使用したい分野(指定区分)を指定して取得します。指定区分は全部で45区分あり、登録には1区分につき32,900円の特許印紙代がかかります。さらに、最初の登録申請の際には、出願のための特許印紙代や弁理士の方への依頼手数料も考慮する必要があります。

最初は、「全部で45区分なら、全区分を網羅して登録したら間違いないのでは?」と思っていたのですが、ざっと試算してみても、ひとつの商標権について45区分すべての登録をした場合、初回の登録手続に200万円以上の登録費用がかかることになります。さらに10年ごとに登録の更新が必要となるため、その都度追加で150万円の登録更新料。零細事務所には、いささか負担の大きい金額です。

また、実際には必要性がないと見込まれる指定区分までむやみに網羅した、合理性が低い申請は特許庁から却下される場合もあるようです。

という事情について弁理士さんから諭され、分野を絞り込むよう勧められたので、今回は自分の事業に関連する部分の指定区分に限って登録を進めていただくことになりました。

ふだん何気なく見ているキャラクターグッズ(サンリオやちいかわなど)、ありとあらゆる商品や媒体に展開していますが、キャラクタービジネスって、権利の確保に莫大な費用がかかっているんだなあ、と実感しました。

ロゴマーク(商標権あり)の税務上の取扱い

今回のロゴマーク、税務的にはどのような扱いになるでしょうか?

一般的には、「商標権」という法律上の権利となった場合、固定資産として計上し、10年で償却を行うことになります。この場合、固定資産のうち「無形固定資産」に含まれる扱いです。なお、無形固定資産は法人税・所得税法上は固定資産となりますが、市町村の固定資産税(償却資産税)の対象とはなりません。ややこしい。

なお、無形固定資産も他の有形固定資産と同様、取得価額が10万円未満である場合には広告宣伝費等の経費(損金)として処理することができます。また税制上の一括償却資産(3年償却)・少額減価償却資産(即時償却)などの制度も、通常の固定資産と同様に適用できます。

ロゴマーク(商標権なし)の税務上の取扱い

一方で、商標権を取得する予定のないロゴマークについては、税務上「繰延資産」となります。「繰延資産」は支払った費用の効果がその時だけの消費で終わらず、将来にわたって続く場合に使用する科目です。

繰延資産も固定資産と同様、何年かにわたって償却をしていくのですが、繰延資産の場合にはこの償却期間に定めがあるものと、ないものがあるのが大きな特徴です。

ロゴマークの場合、繰延資産のうち「開発費」に当てはめることが通例となっているようです。
開発費の定義は、法律の条文上は、「新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出する費用」(法人税法施行令14条1項3号)となっています。

ロゴマークって、この定義の中で当てはめるとしたら「市場の開拓のために特別に支出する費用」だと思うんですが、これがぴったり当てはまるかというと、どうなのかなあという疑問がほんのり残ります。だって、市場を開拓した後でおもむろにロゴマークを作ることだってあり得ますよねえ…?

効果として数年間に及ぶことは確かなので、繰延資産にするのはいいのですが、上記のように「開発費」にはなじまないパターンもあることを考慮すると、定義としてはどちらかというと、同じ条文の後段にある「上記に掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用」(法人税法施行令14条1項6号ホ)に当てはめた方がいいんじゃないかなという感じが残るんです。

なんで「自己が便益を受けるために支出する費用」ではなく「開発費」なのか。
これに関して一番納得できるのは、こちらの記事の記載でした。
日本税制研究所:合併に伴う新社名等の制作に係る費用の取扱いhttps://www.zeiseiken.or.jp/faq/soshiki_saihen/sosaihen_tna_maestro_a016.html

ロゴマークの費用を「開発費」と解釈した場合、法人税・所得税法上、いつの期に、いくらを償却するという定めがなく、任意の期に経費(損金)としてもよい取扱い(任意償却)。一方、後段の「自己が便益を受けるために支出する費用」とした場合、「その効果の及ぶ期間」で均等に償却する取扱い(均等償却)。事業者の利便性が高いのは任意償却ですし、権利設定もないロゴマークの「効果の及ぶ期間」なんてだれも確認できない。こういう事情で、ロゴマークを任意償却の「開発費」に当てはめた方が実務上都合がいいし文句もつけようがないだろう、ということですね。

なお余談ですが、「かかった費用が20万円未満の場合には、少額の繰延資産(法人税法施行令 第134条)の取扱いにより即時に経費(損金)算入が可能」と記載してある解説が多いですが、少額の繰延資産は厳密には均等償却の繰延資産に関する規定。「開発費」はもともと任意償却の繰延資産なので、初年度に一括償却できるのは任意償却の特性によるもの、20万円未満であることは特に要件ではありません。

関連費用の取扱い

ロゴマークの商標登録まで、様々な費用がかかりました。
・そもそものロゴマークデザイン料
・弁理士さんの申請手数料×3回(申請・理由書提出・登録)
・特許庁への登録印紙代×2回(申請・登録)
このうち、どこまでが商標権の取得価額に入るのでしょうか?

これに関しては、国税庁のタックスアンサーにおおよその目安が記載されています。
国税庁タックスアンサーNo.5400「減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」

関連しそうなところだけかいつまむと、
減価償却資産の取得価額:
購入代価・事業の用に供するために直接要した費用・引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などその資産の購入のために要した費用

取得価額に含めないことができる付随費用:
登録免許税その他登記または登録のために要する費用 ~その他省略~


となると、今回商標権の取得価額として計上すべきなのは、ロゴマークのデザイン料のみ、登録のために要した弁理士さんへの手数料と登録印紙代は支払った時期に経費(損金)として計上可能ということになります。
デザイン費用の多寡にはよりますが、小さな会社のロゴマークが少額減価償却資産までの金額の範囲内に収まらず、固定資産計上となるパターンは実際には少ないのではと思われます。

餅は餅屋

弁理士さんのお仕事、今回初めて身近なところで拝見して面白かったです。
特許庁とのやりとりには独特の用語も多く、私の知識では対応の仕方が分からなかったので、アドバイスをいただきながら進められて、とても安心しました。

ひとりではどこから手をつけていいか分からないことや、とりあえず進めたとしてもこれでよかったのか不安が残ること、その分野に明るい方が一緒にいて下さると、ずいぶん見える景色が広がるように思います。
私自身の仕事においても、そのような役割を果たせているか、足下を見直すよい機会となりました。

おわりに

ワニの名前は「ひらた」、むかし家族からもらったぬいぐるみがモデルです。
税理士、数字や法律の細かい話が多くなってしまいがちですが、ご依頼をいただくお客様には、できるだけリラックスしてご相談いただけたらと考えて、柔らかい雰囲気の事務所づくりを心がけています。

なお、ワニグッズはご希望の方向けに販売しています。ご興味をおもちの方はお気軽にお声がけください!

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